もともと怖い放射能の話

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今日になって福島第一原子力発電所の爆発で放出した放射性物質の総量は90万テラベクレルだと、発表されたわけです。だいたい、これは天文学的なとんでもない数値なんだから、もっと分かりやすく10の19乗とか、9,000,000,000,000,000,000=900京といった説明をしろよと。単位を操作して、数値を小さく見せようというわけですか。相変わらず、東電には反省の色がありませんね。

あたしは、物理学者でも放射線医療の専門家でもありませんし、取り立てて専門知識があるわけでもない、ただの中年おやじです。それも、かなり程度の低い方になると思います。でも、足りない頭でも、少し調べて、それまでの経験などを付き合わせて自分なりに考えてみると、「おおよそ、こんなところだろう」という、そこはかなとない確信を伴った結論は出せるもんだと思います。

そこで大事なのは“疑う”ことでしょうし、“決して楽観視”しないことでしょう。GM大豆の話でも書きましたが、資本家とそこから金をもらっている政治家や官僚は、自分たちの利益のためなら“息をするように嘘をつく”わけです。

このことは、原発の事故対応や責任問題の追求、そして国民の安全や健康に対する彼らの姿勢を見れば明らかですよ。もうバカでも分かるわけです。

 

実は一昨年、実父が大腸がんになって、摘出手術を受けました。この事で、がんについて、あるいはがん医療について調べてみたと。

現在、がんは日本人の死因No.1になっていますが、がんは年齢を重ねるほど発症しやすいわけで、日本の年齢構成を考慮して計算すると、人口10万人に対するがんによる年間死亡者数の比率は1960年からほぼ横ばいです(女性では減少傾向)。これは食生活や医療の向上の結果でしょう。

ところが、がんの中でトップだった胃がんが早期発見や早期治療によって減少している事に対し、肺がんは男女ともに急激に増加していて、1993年以来トップに躍り出ていたんですね。肺がんの要因としてやり玉に上がっているのはタバコですが、喫煙者数が減っているのに肺がんは増加している。

もちろん、発症までのタイムラグもあるし、転移性の発症もあるのですが、他の要因も考えなくてはいけないのではないかと。排ガスのPMやアスベストなど化学物質、放射性物質…複合的な影響が指摘されているわけです。

そんなことから、放射性物質の汚染はどうなっているのかと調べていたら、すごい映像を見つけてしまった。で、それをネタに昨年の1月末に他でやっていたブログに記事を書いたんですね。

そうしたら、そのちょっと後に福島第一原子力発電所が爆発したわけです。「そら見たことか」と思うと同時に、非常に複雑な気持ちになったのも事実です。以下、過去のブログの内容(斜体)を引用しながら進めます。

以前に読んだ、原発がどういうのもか知ってほしいという、原発建設従事者の告発手記の内容は衝撃的だった。これによると、日本のみならず世界的にも原子力施設は恒常的に放射能をまき散らし、原子炉の建設や使用済み核燃料など核物質の管理はかなりいい加減である事が分かる。

上記のサイトは、内容の真贋がずいぶんと議論されてきた有名な手記なんですが、あたし個人の判断では、本当6:誇張と虚偽4くらいではないかと思います。これを検証したサイト怪文書「原発がどんなものか知ってほしい」の功罪と、東電エンジニアが反論した「RE:原発がどんなものか知ってほしい」(2005年頃の記事。オリジナルは削除)がありますので、各人でご判断ください。

ただ、東電エンジニアの話は、“まず相手を肯定してから落とす”というロジックが作意的で少々気になるのと、爆発後の東電の対応や隠蔽事実を考えると、書いた本人の想いとは逆にかなり信憑性が低下したと思わざる得ない部分があると思います。とくに耐震性や管理については、やっぱりなという感じですね。

このような話が事実なら現代人の体は、間違いなく放射線の影響を多大に受けているはずだ。また、スリーマイル島やチェルノブイリの事故、セラフィールド(イギリスの再処理工場。浜岡原発がお得意様)での汚染などを考えても、世界中が放射能まみれではないかと強く思っている。

なにしろ、チェルノブイリの事故で飛散した死の灰は広島型原爆の800倍とも言われている。だが最近、その確信すらも、希望的観測であったという秀逸で悲愴な動画を見つけた。

1945年〜1998年の54年間の核実験で、実に2,000発以上の核爆弾が地球上で炸裂しているわけだが、「知らぬが仏」とはよく言ったもので、この事実を知る人がどれだけいるのだろうか? とくに冷戦時代、’50年代から’70年代の頻度たるや、核戦争と見まがうばかりである。

この映像、「爆轟の年表」(=核実験の歴史)は、昨年原発が爆発してからずいぶんと拡散されて、有名になりましたが、元々は日本の映像作家の橋本功さんという方が、CTBTO=包括的核実験禁止条約機構の依頼で製作したものです。貼付けたのはYou Tube用にリサイズして尺を縮めたものでオリジナルはこちらのようです。

ちなみに、史上最大の核爆弾は、1961年に旧ソビエトが大気圏内核実験を行なったツァーリ・ボンバ=皇帝爆弾と呼ばれた50メガトン級の水爆で、広島型原子爆弾の3,300倍の爆発エネルギーを持ち、これ一発で死の灰が300kg生成された。

環境に影響が少ないと言われる地下核実験でも土壌は汚染されるし、半減期がわずか数秒〜数十分でその影響(放射線量)を失う放射性物質もあるが、いくつかの物質の半減期は永遠と言えるほど長い。

ネバダ、ウラルやシベリア、南太平洋、サハラ砂漠、ゴビ砂漠…そして、そこから偏西風に乗って、どれだけの死の灰が世界中に巻き散らされて来たのか。人々が携帯用のガイガーカウンターを持って出歩いていたとしたら、誰もが未来に絶望したのではないのか。

何が言いたかったのかと言いますと、昔から放射性物質は降り注いでいたし、原発を始めとする核施設は年がら年中、放射能ダダ漏れですよと。そんなことを知らされもせずに生きているのだから、将来的に何がどうなるやら、分かったもんじゃありませんよとうことでした(実際エラいことになってしまったわけです)。

だいたい、最近50になったあたしが生まれた1962年なんて、米ソがキューバ危機で一切の核実験を中止した後の、もう第三次世界大戦じゃないのかって思うほどの核実験ラッシュですよ。ほんと、気が狂ってるとしか言いようがない。

あたしなんか、すでにご幼少のみぎりでストロンチウム90セシウム137も浴びまくりなんでしょうね。死の灰を浴びながら三輪車こいで、放射能マグロ食べて、怪獣と言えばゴジラマンガは鉄腕アトムですから。もう人生ラドン温泉状態です。本当にありがとうございますた。

それを裏付ける資料がこれですね。まさに1962年は大型核爆弾のピークです。このグラフもまた、爆発直後からずいぶん広まった資料ですが、元ネタの【核実験フォールアウトとの比較】削除されています。ただ、似たような内容で、かなり専門的な話がありますので読みたい方はこちらへどうぞ。

しかも、年次の爆発回数は先ほどの動画のほうが正しいようですから、そうであるなら実際にはもっと降っているかも知れませんね。とにかく、1960年前後の日本では何も知らずに、人類史上最悪と言われたチェルノブイリ以上の死の灰を浴びていたことになると、こういうわけです。

まあ、この資料が多少間違っていたとしても、浴びまくりの事実には変わりはないでしょうね。春先の黄砂なんかは、もとはゴビ砂漠とか、タクラマカン砂漠からですよ。どっかんどっかん実験やってた場所の砂がヤバいなんて、バカでもわかる。半減期を考えたら今でもセシウムは残っているでしょうから。

政府はそんなこと一度も言ってないわけです。そういえば支那大好きNHKも、そういう時期に「シルクロード」なんて番組をガンガン流してましたね。ええ、支那共産党の全面協力なんかも、まったくの偶然だと思いますけどね。それを見て、旅行にいった人もたくさんいましたよ。どこが実験場かも知らずに。

はい。話を戻しまして、この資料を作った方は「このままで推移するとすれば、福島市では外部被曝では今回>核実験、内部被曝では今回<核実験、トータルでは(核実験時代と被曝量が)同じくらいになると考えています」と書いていますね。だから、やみくもに騒ぐのはどうなのかというニュアンスでした。

この考え方が、安全を信じたいと思っている人々の論拠にもなっているように思えます。「昔から死の灰浴びてるけど、オレなんともないもん。福島も相当だけど、チェルノブイリの方がひどいって言うじゃない」という話です。あたしも「そうだといいな」と思います、マジな話で。

この意見はサイエンスメディアセンターにアップされましたが、その後ずいぶんと批判が集中し削除される結果となったのですが、これを書いた方の個人ブログがあります。撒き散らされた量と被曝線量という記事で、この続きを詳しく説明しています。

もともとこの方は「(福島は)日本で短期間に降った量としては、過去最大」になると述べていますし、安全だとも言ってない。批判された以降は“エア御用”(御用学者の真似)などと言われながらも、分からないから本人なりに真摯に公平に分析を続けている姿勢には好感が持てます。

で、本日の大本営発表では「福島の90万に対して、チェルノブイリは520万テラベクレル」といった内容があった。いやもう「これでひと安心。60年代の核実験の足下に及ばない量なんじゃないの?」って、考える人が絶対いるだろうなと。あたしも「そうであって欲しい」と切実に思いますよ。しかし、残念ですが、これは希望的観測に過ぎないと思います。理由は以下のとおり。

①東京電力の発表だから ②いまでも停まっていない ③よく分からない

は簡単ですね。彼らの言うことには信用がない。数値を小さく言うことは得意だが、正確には言わない。また、言えないとも思いますね。放射性核種の絶対量は決まっているけど、それがどのように反応し、どのくらい出たかというのは、何が起こっているのか分からないと計算できない。

誰も炉心なんかに近づけないので、本当のところは分からないわけです。だから、結果から推測するしかないと。しかも、核爆発を水素爆発と未だに言い張っている。こういう点で鵜呑みに出来ないわけです。

はそのまんまですね。今でも放射性物質はどんどん出ているわけで、海への流出量はもう気絶してもいいくらいです。これがいつまで、どのように出続けるか、誰にも分からないし、今後再び空気中への大量放出もあるかも知れないし、実際に今も出ている。

これに関してこんなデータもあります。核実験時代と311後の魚の汚染を比較してみた

結局、危険、安全、双方の主張に明確な根拠はないんですよ。そりゃ短時間に大量に浴びれば死んでしまうわけですが、長い年月で低線量を浴びたらどうなるのかだって、相手が見えないものだから、どこで、何を、どのように浴びたのかという前提の部分で曖昧になってしまうし、それを統計立てて立証するだけのサンプルもない。

要するに放射性物質と人体の関係には、分からないことが多すぎる。

もともとが爆弾で始まった軍事機密ですよ。アメリカは原爆開発初期に行なった兵士を使った人体実験の結果をひた隠しにしてましたし、広島・長崎だって相当の隠蔽工作があったわけです。そこから原子力の平和利用となっても「事故は、あってはならない」前提だから、トラブルや被曝事故はひた隠しにされてきたわけです。

しかも、いったん深刻な被曝をしたら治しようがないので、大規模な治験もできないし、関係者も被曝してしまう可能性もある。医学的な研究がなかなか進まないのは当然でしょうし、唯一の原子力発電所爆発による健康被害の症例はチェルノブイリ関連しかなく、それすらも不透明なベールに覆われているわけです。誰を気遣っているのか知りませんが、日本のマスコミは知らんぷりですよ

人類はとんでもない物を使ってしまった、としか言いようがありません。

見えない、分からない、消せない、そして絶対に治せない、これが核物質や放射線の本質です。人間が人間である限り、治療なんて無理ですよ。眼に見えないエネルギー粒子にぶっ壊された遺伝子やミトコンドリアを、あるいは原子核レベルで起こる変化を、誰がどうやってコントロールするんだと。おまえは創造主かと。

あたしはすごく怖いです。まず、根本的にこれらの事実が怖い。そして、扱えない物を後先かまわず金や権力のために利用する人間が怖い。

その怖さを知って逃げる人。知っても逃げられない人。知らない人。逃げない人。誰もその先に何が起こるのか分からない。「君子危うきに近寄らず。出来るだけ離れていましょう」としか言えませんが、究極的には地球上のどこにも安全な場所はないわけです。

それでもなお、「賛成だ」「反対だ」と、目先の損得で揉めているのですから、もう笑うしかないですね。人間はどこまで愚かなんだと。