本当に怖い大豆の話

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あたしは納豆をよく食べます。まあ体にも良いだろうし、わりと好物です。昨日はひきわり納豆の味噌汁を作りましたが、まな板で納豆をたたきながら、あることを思い出していました。

スーパーには色々な納豆が売られています。大手メーカー品なんかは特売日に「3パック88円」になりますが、あたしが好きな昔ながらの藁苞(ワラツト)に入ったような物は、200円以上します。この価格の差はどいうことなのかと考えると、大量生産によるスケールメリットもあるでしょうし、包装代も違うでしょう。

しかし、そもそも原材料の大豆の値段が違うわけです(豆腐も同じことですね)。要するに、高い納豆は国産大豆の有機栽培で、安い納豆は輸入大豆を使っている。その輸入大豆の大半はアメリカ産でして、原材料の表記は「大豆(アメリカ、カナダ。遺伝子組み替えではない)」なんて感じですね。

あちらさんの大豆は基本的に遺伝子組み替え作物=GM(genetically modified organism)作物なわけですが、いちおう規制が厳しい日本向けにわざわざ選別した非GM大豆を輸出している。ちなみに、日本の大豆の自給率は5%です。つまり95%が輸入で、その8割がアメリカ産です。

GM作物は、1996年にアメリカで大豆の栽培から始まりましたが、2004年の時点でアメリカで生産される大豆の85%(残りの非GMがほぼ日本向け)、菜種の85%、綿の75%、コーンの50%を占めています。

日本では、GM作物の栽培に関しては、安全性が確認されていないものは認めないとか、自治体によっては全面禁止とかありますが、加工食品に関してはザルです。すでに日本で使用される原料全体の半分以上がGM作物だと言われております。

いちおう、大豆とコーンと菜種など8種類の原材料に関しては、消費者保護の観点から(本音はうるさくて面倒くさいから)JAS法や食品衛生法で表示が義務づけられているというわけですが、あたしがバカなせいもありますが法規制やガイドラインがどうにも曖昧でよく分からない(分かられたら困るから)。

EUではGM作物に対する規制は相当厳しいようですが、日本は「遺伝子組み替えではない」と言いながらも、全体の5%まではGM作物を使用しても良いとか、主原料でなければ表示義務はないとか、いつものまやかし全開です。しかも「遺伝子組み替えではない」と言いながら、実はGM作物を掴まされている可能性も十分にあるわけです。

輸出元の北米でも輸入元の日本でも、最も信用できない企業や役所が絡んでいて、その根本から悪意に満ちているとしか言いようがないからです。

 

GM作物の種子の製造に関しては、それを開発したアメリカのモンサント社が独占しています(世界シェア90%以上)。モンサントは元々は化学薬品メーカーです。過去に有名だった同社の商品は、電気機器の絶縁油などに使う「PCB」、ベトナム戦争で使われた「枯れ葉剤(通称エージェント)」です。

結果的に人類史上最凶・最悪の毒薬=ダイオキシンで金を儲け、公害と障害を生み出して来た企業ですから、GM作物を食べた人間がどうなるかなんてことは、これっぽっちも考えていないでしょう。なにしろ、彼らは利益追求と独占支配を実現するため、恫喝や訴訟によって農家を脅迫しながらGM種子を売りつけている企業です。

その訴訟というのも、ひどいマッチ・ポンプで、信念を持ってGM種子を買わない農家の畑に、隠れてGM作物を植え付けて「ウチの種を勝手に使った」と因縁をつけて、とんでもない賠償額を請求するというものです。また、種蒔き用の種子を扱う農家を孤立させて廃業に追い込むという手段は、フード・インクでも描かれています。

彼らの作る農薬=除草剤「ラウンドアップ」と、それに耐性を持つGM種子「ラウンドアップ・レディ」は実質的にセット販売で、しかもGM種子の発芽は一世代限りだから、農家に導入させれば、文字通り笑いの止まらないビジネスというわけです。おまけに、穀物によって食糧輸入国の実効支配もできるわけで、アメリカ政府や金融資本も大歓迎ですよ。

問題とされているのは、これまでにない植物であるが故の毒性です。

例えば日本政府は、GM作物を認可するにあたって、モンサントに試験データの開示と提供を求めた。ところが、肝心のデータの開示を渋ったり、当たり障りのないデータや明らかに捏造したインチキデータを見せて「安全だから買え」ときた。

もう得意のパターンです。当然ながら、アメリカ政府の強請がセットです。ちょっと昔の、白髪の売国奴による「なんとか改革」とか、いま問題になっている「TPP」なんてのも、大いに関係しているわけです。

結局、GM作物が問題視された初期における、ラットを使った毒性の実験はあまりにも不確定要素が多く、その信憑性が反論材料になった。さらにそこから、反対と肯定の実験データや意見が乱立し、言ってみれば「クソの投げ合い」になったわけです。

ところが、よくよく調べてみると、モンサント側からなぜか流出した実験データに素晴らしいものがあった。それはGM大豆における「残留農薬」のデータでした。

グリフォサートというのは、除草剤の成分である有機リン化合物です。で、上のグラフでは、1/3が日本における食用大豆の旧残留基準を超えているというわけですが、残留基準が「旧」なのは、1999年に厚労省が思いっきり基準を引き上げたからですね。

この時、基準値は6ppmから20ppmへ引き上げられたわけですが、この20ppmという数値はアメリカからの具体的な要請です。早い話が、上のデータをそのまま反映したような話です。大豆の場合は3倍強ですが、他の作物では10倍も引き上げられた物もあって、これでめでたくGM作物は「安全」となり輸入はスムーズになったというわけです。本当にありがたくて涙が出るお話ですね。

厚労省と言うのはいったい、どこの国の政府なんだよと。ふざけるのもいい加減にしろと思うわけですが、規制値を引き上げて問題解決という究極のご都合主義は、昔からやっていた得意技です。棄民政策の象徴ですよ。だから、政府や役人の言う「安全」は、すべて「危険」だと思えばOKです。

しかしまあ、考えてみばGM大豆は普通の大豆が枯れちゃう量の除草剤でも平気なんですから、残留する農薬の量が多くなるのは当然ですね。そうじゃなかったら不自然ですよ(GM作物自体もともと不自然な存在なので、それを自然だとか不自然だとか言ってること自体おかしいんですがw)。

このデータをどう評価するかは、みなさんの判断にお任せします。あたしはNOです。少なくとも子どもには食わせたくありませんね。

 

ちなみに、GMコーンの場合は、農薬への耐性だけではなく、害虫に対する毒性を持っている場合もある。それは殺虫剤として使われてきた「微生物農薬の毒素遺伝子」を組み込んだからですが、結局は狙いとした害虫以外の生物にも毒性を発揮したり、畑の土壌にまで毒性が伝播するといいます。

益虫であるハチまで殺すというわけで、ここ数年でミツバチが大量に消滅している理由はそこにあるんじゃないかと言う意見もある。

そういうコーンは「作物」ではなく「殺虫剤」に分類されているという話なんですが、それが飼料や食品原料として日本に入ってきているわけです。もうバンバン使っています。お菓子や清涼飲料水の「ぶどう糖果糖液糖」なんてのが、まさにそれ。食品でおなじみのコーンスターチも、それ。市販薬にも使われています。

あたしが子どもの頃から好きだった「カール」……カールおじさんが泣いていますよw

GMコーンの使用実態やアメリカのコーン事情はキングコーンという映画が、非常に詳しく描いています。もっとも遺伝子組み換え以前に、コーンシロップを原料とする果糖液糖はそれだけでも相当ヤバい存在です。ラットの実験ではオスが間違いなく生殖器に発育不全を起こすと。あたしは「草食男子」とか「なんとかレス」とか、そういう話じゃないかと思ってますが。

 

で、GM大豆なんですが、どうやって誕生したかというと、これがまた強烈です。まさに現代の「バベルの塔」だと思います。

GN大豆も開発当初は、除草剤に対する耐性がなかなか実現できなかったそうです。枯れはしなかったが、成長障害が残ったと。そこで、この問題を解決するための遺伝子を探索したわけですが、これがなんとモンサントの「除草剤製造工場の排水の中にいた土壌細菌」から見つかったと。

さらに、全体をうまく機能させるために「カリフラワー・モザイク・ウイルスの遺伝子」、遺伝子の読みとり停止を指令する「植物のガンウイルスの遺伝子」なども連結し、全体の約18%が違う遺伝子に組み替えられている。

これはもう、大豆と呼べる植物ではありませんね。自然界にまったく存在しない遺伝子組み合わせを持った「未知なる人工植物」です。突然変異して農薬工場の排水の中でも生きていられる細菌の遺伝子、という時点でシャレになってません。

GM大豆についての話は、このサイトに詳しいです(記事の参考にもさせていだきました)。遺伝子組換え食品の安全評価に疑義あり

 

もう10年以上も前の話になりますが、とある地方の豆腐メーカーに行ったことがあります。そこの社長さんは豆腐作りに非常に熱心な方で、原料となる水や豆の選択にこだわっていらっしゃっいました。そこの豆腐や揚げはめちゃくちゃ美味しいので、今でも時々、買いに行くんですけどね。

で、実はこの社長さん、安全で美味しい大豆を確保する試行の中で、視察に行ったアメリカでGM大豆の種子を手に入れ、こっそり持ち帰ってきた。それを発芽させてみたからご覧なさいとおっしゃったわけです。GM大豆が発芽したばかりの状態なんか、ほとんどの方が見たことがないだろうと思います。

右側がGM大豆ですね。葉っぱがグチュグチュと縮れています。比較のために置いてある普通(非GM)の大豆と比べると、どう見ても「奇形」にしか見えない異様な姿でした。「農薬をかけると普通の大豆は枯れてしまうのに、こっちは本当に枯れないんですよ。不気味ですよね」と社長さん。

「こりゃあ化け物だ……こんなものを食べて、大丈夫なわけがない」と、あたしは心底ゾッとしましたよ。上の写真は、あまりに強烈だったので雑誌に掲載した時のものですが、自分にとってはちょっとしたトラウマとなった光景なんです。

納豆や豆腐を見ると、いつもこのことを思い出します。